Ron Herman
INTERVIEW
株式会社サザビーリーグ リトルリーグカンパニー
プレジデント 三根弘毅
INTERVIEWER
フィールドマネージメント代表
並木裕太
――プロフェッショナルとしてわき目も振らずキャリアを積み重ねてきながらも、学生時代から洋服が好きで、ファッション業界で仕事をしてみたかったなという思いを持ち続けている人は少なくないと思います。ただ、まったくの異業種に飛び込むとなれば「自分が活躍できるような場はあるのか」「いまのプロフェッショナルの世界で膨れ上がった収入や生活を維持できるのか」といった不安は尽きないもの。フィールドマネージメントが提供するこのスキーム『STAY TRUE Sign UP』は、そうした不安を払拭し、若者が抱き続けてきた夢を後押しすることを目的としています。
今回は「ロンハーマン」などを展開する株式会社サザビーリーグ リトルリーグカンパニープレジデント三根弘毅さんとの対談を通じて、ファッション・小売業界における人材活用の現状や課題、『STAY TRUE Sign UP』を活用して出会いたい人材像などを明らかにしていければと思います。
ロンハーマン千駄ヶ谷店
並木 私も三根さんとの出会いから長年の夢だった洋服作りを始めることができて、「RHC Ron Herman」でも扱ってもらえるようになったわけですが、コンサルのような仕事をずっとやっている身としては、やっぱりファッション業界はまぶしく見えるんです。新しい世界に挑戦する意欲とビジネスのスキルを持った若者がいるのなら、フィールドマネージメントとしてその思いと待遇面のサポートをしつつ背中を押してあげたいなと思っています。彼らは、たとえば消化率75%の洋服を、店舗間移動に新たな仕組みを導入することで85%まで向上させるようなことができるかもしれない。自分が好きな洋服の世界に携わりながら、培ってきたスキルを発揮してビジネスの成長にも貢献できる。そんな状態に持っていけたらいいな、と考えています。
三根弘毅
三根 なるほど。実はうちには、ボストンコンサルティンググループから転職してきた女性社員がいて、バイヤーとして活躍してくれています。彼女が面接の時、「小さい時にお母さんやお父さんと一緒に来たお店というのは、ずっと思い出に残る場所。私は、お客様にとって思い出の場所になるようなお店をつくっていきたい」と話してくれたのが、すごく印象的でした。
最初は通訳兼アシスタントのような形で、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークと出張に同行させていたんですが、この業界の世界観だとか仕事に必要な知識だとかをどんどん吸収していって、短期間でバイヤーとして独り立ちしました。普通はまず接客を経験して、マネージャーになって、それからバイヤーになっていくケースが多いけど、彼女はうちの社では唯一、店頭に立ったことのないバイヤーです。
並木 そんな方がいるんですね! 「物流コストの削減」のようなコンサルの延長にあるスキルが当面の武器になるだろうと考えていましたが、ファッション業界特有のセンスや感性の部分でいっきに才能を発揮するケースもあるんですね。
三根 私としても予想外でした。コンサルもできる頭のよさと、いいものを見抜く眼力の鋭さ、その両方を持っているとなれば、社にとってはすごく貴重な人材だと言えます。
私は、売上を大きくするためのマーケティングはもちろん重要ですが、「マーケティングしないマーケティング」というのも大事だと思っているんです。お客様のほうばかりを見て、「こういうものを欲しがっているお客様がいるから、それを売ろう」という考え方だと、どうしてもその範疇の中だけに留まってしまう。それよりも、「すごくおもしろいものを探し出してきたから見てください!」という勢いでお店に並べたもののほうがブレイクしたりする。「これ大丈夫か?」「売れるのか?」という不安もありますが、そのドキドキするところも含めてこの世界のおもしろさですよね。
ロンハーマンフィロソフィー
並木 三根さんが求めているのは、顧客分析や企業戦略の立案や業務の効率化ができる人材というより、新しいものを生み出す力がある人材と言えるのかもしれませんね。
三根 これから会社をより大きくしていくうえでは、組織をもっと整備する必要が出てくるでしょうし、小売業の生命線である在庫管理の改善も重要な経営テーマだとは思います。そういった領域で活躍してもらえればたしかに助かりますが、どんな人材が欲しいかと言われたら、そこの部分の能力だけを見ることはないですね。
私が伊勢丹にいたころ、消費者の行動分析もいろいろやってみたことはあります。でも「ワインを買った人が同時にチーズを買っている」というデータが積み上がったところで「それはそうだよな」としか思わないし、「その人が化粧品も同時に買っている」というデータが出てくると、それはそれで何を導き出すべきかわからないまま終わることも多い。40代、50代向けに売り出した商品が、30代にヒットすることだってあります。
だからそういうことより、世の中にまだ知られていないものを新たに見つけ出して、マーケットに流行らせていくことを考えたほうがワクワクすると思うんです。過去にはナタデココが一世を風靡したこともあったし、最近ではパンケーキや食パンがブームになったり、少し前までは誰も思いもしなかったものが流行ったりする。そういう新しい何かを、コンサルをやってきたような頭のいい人たちが考え出したらおもしろそうだなと思います。組み立てる力はあるはずですから、びっくりするようなアイディアとそれが売れる仕掛けを同時に考えながら、どんどん具現化させていってほしいですね。
リトルリーグカンパニーではカナダグースを始めとした様々なブランドの卸事業も行っている
並木 現状としては、そういう人材が不足しているという認識がおありですか?
三根 何人か出てきてはいますけど、販売から始めて、サブマネージャーになって、「新しいことをやりたい」と言い出すまでに10年ぐらいはかかってしまう。その間に途中で辞めてしまう人もいるし、新しいことを生み出せる人、生み出したいと考えている人は、社員900人の中でも実はそんなにいないのかもしれません。
ある社員は、みんなからすごく愛されるキャラクターだし、カッコいいものに対してビビッドに反応できる感性もある。でも、それをどうやって売ればいいのかという部分が苦手だったり……。いわば右手(ビジネス)と左手(感情や個性)の両方を兼ね備えている人材を育てるのはなかなか難しいことだなと感じています。
並木 コンサルのような世界から飛び込もうと考えている人材としては、左手を使えるかどうかがカギになるのかもしれませんね。
三根 私は会社の忘年会の出し物にしても、ちょっとうるさいんです(笑)。忘年会の芸も、お店で売る商品も、人を楽しませるという部分は共通している。ジョークはアイディアであり、アイディアはクリエーションだと考えているからこそ、何をするにしても創造的であってほしい。
大事なのは“等身大”でものを考えることだと思います。世の中を見渡してみれば、「こうだったらいいな」と思うことってすごくたくさんありますから、そういう気づきを大事にしていってほしいですね。海外に行ったりしていろいろなものを見ながら、二番煎じではなく、あくまで独自性のあるアイディアをどれだけ生み出せるか。それは私自身が常に考えていることでもありますし、どんどん提案してもらえたらうれしい。うちは、新しいことに対して寛容で「よし、やってみよう」という社風。やりがいもあると思います。
並木 たしかに。全然違う世界だからこそ刺激的でしょうね。
三根 当然、地頭のよさは大事です。それがないと、何かいいことを思いついても実現に向けて進めることができないし、思いつこうともしていない人、思いついても実行しようともしない人が大半なのかなとも思います。そこは地頭がいいという強みを生かして、ハングリーな気持ちで新しいものを生み出すことに挑戦してみてほしいですね。
コンサルの世界は、言ってみれば“95のものを105にする仕事”なのかもしれませんが、小売の世界は“ゼロから1を生み出す仕事”。もちろんコンサルの仕事のおもしろさもあると思いますが、95のものを105にした時に、ガッツポーズできるのか、涙を流して喜べるのかというと難しいのかなと思う。ゼロから1を生み出せた時には青春まっただ中のような感情を味わえます。そういう経験が社会人になってからできるのは、この仕事の醍醐味の一つですね。
並木 小売では、ただ「カッコいいから」ではなくて、この商品の何がおもしろいのか、どこがいいのかという理由をきちんと伝えることが重要だと思います。そうやってストーリーを構築する力はコンサルの若者が得意な分野でもあるので、そこはスキルが生かせるかもしれない。
三根 まさにおっしゃるとおりですね。不思議なもので、「これ売れるの?」というものばかり買い付けてくるのに、ものすごく消化率がいいバイヤーっているんです。逆に、一目でカッコいいなと思うものを買い付けてくるのに、なかなか売れないバイヤーもいる。何が違うのかといえば、消化率がいいバイヤーは説明がすごく上手なんですよ。
いいものを買ってくることはもちろん重要だけど、そのアイテムのよさをスタッフに伝える、そしてスタッフからお客様に伝える。そのプロセスを大事にすることは、モノを売る時の基本中の基本なんですね。デザイナーがどういう思いを込めてつくった商品なのか、書かれた文字の本当の意味は何なのか。そういうものを一つのストーリーとして提案する力は武器になるのではないかと思います。
並木 これまでのキャリアで培ってきたスキルも上手に使いつつ、新しいアイディアを生み出し、それを実現していける。そんな人材にどんどんドアをノックしに来てほしいですね。
三根 外部から新たな視点を持ち込んでもらうことは大歓迎です。新しいアイディアが社内で次々に生み出される仕組み、それを吸い上げて具体化させていく仕組みをつくるという貢献の仕方もあるかもしれない。簡単なことではありませんが、気概のある方にぜひ挑戦してほしいと思っています。
INTERVIEW
プレジデント 三根弘毅
株式会社サザビーリーグ リトルリーグカンパニー
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